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インディーゲーム「AKA(アカ)」Switch版のレビュー

ゲーム紹介

 今回は発売されたばかりのSwitch版「AKA(アカ)」のレビューをお送りします。
 本作は2022年11月10日公開の「Indie World」(任天堂公式Youtubeチャンネル)でも紹介され、絵画のようなグラフィック、牧歌的な雰囲気や、所々の不穏な描写が気になった方も多いのではないでしょうか。
 今回はそういった方向けに、「AKA」の個人的な感想と評価を綴っていきます。

「AKA」のゲーム内容

戦争を生き延びた主人公「アカ」ののんびり島暮らし

 物語は戦争が終わったばかりの荒れ果てた土地から始まります。
 命からがら生き残り、疲れ果てた軍人のアカは、友人からの勧めに従い、島でのんびり平穏に暮らす生活を始めることに。

 ジャンルはいわゆるライフシミュレーションゲーム。
 クォータービューで、若干のアクション要素もあります。
 出来ることは「牧場物語」や「あつ森」に近いイメージですが、各地を探索してストーリーを進めることがメインで、畑はあくまで必要アイテムを得るためのサブ要素となっています。

苦い記憶と向き合う物語

 「AKA(アカ)」が他の癒し系ライフシムと違うのは、主人公アカが救いのない「戦争」の記憶と向き合う過程が、ストーリーの中心に据えられている点です。
 死と隣り合わせの戦場を生き抜いてきたアカは、急に平穏で静かな暮らしに放り込まれることにより、かえって自身のトラウマと後悔に悩まされることになります。

 一見平和に見える島の景色にも、地面に罠が仕掛けられていたり、戦争の爪痕が少なからず残されています。
 そういった中でアカは罪の意識に苛まれながら、軍人として戦争の一端を担った償いも含めて、島の住民たちの要望を叶えていくことになります。

 絵本的な世界観を損なわない程度の描写ではありつつも、戦争や環境破壊といった、人間の犯してきた罪に対するメッセージ性の強い作品となっています。
 そういった部分が、癒し系ライフシムとしては新しい部分ではありつつも、純粋な「癒し」を求めるプレイヤーには好みの分かれるポイントになりそうです。

良かった点

フィールドの雰囲気が良い

 絵画的なグラフィックやオリエンタルなBGMが、のどかな島の世界観を引き立てており、フィールドをうろうろしているだけでも楽しいです。

 アカが戦争の記憶に向き合う場面も、島のゆったりした雰囲気をかき消すものではありません。
 残酷描写やビックリ演出はなく、心の準備も出来るものだと思います。

 しかし、平穏な場所でのんびりと暮らしていても、「いつでも向き合うことのできる」暗い記憶のトリガーがすぐ近くに潜んでいる描写は、むしろリアルさを感じます。

ゲーム進行上は意味のない行動でも心地よい

 お風呂に入ったり、海辺に横になって空を眺めたり。
 ゲームを進める上では特に意味のない行動ですが、アカがくつろいでいる姿を眺めていると、こちら側も心地よくなれます。

 また、本作にはいくつかのミニゲームがあり、本編の進行には関係ないものの、特にカードゲームが収集要素もあり面白いです。

 行動の生産性や効率を考えずに、「気が向いたらまたやってみよう」と思えるのは、本作ならではの居心地の良さかもしれません。

最初から自由度が高い

 オープニングの後はチュートリアルも無く、いきなり島暮らしを始めることになります。
 (基本操作の説明は冒頭にあり、オプションからも見ることができます。)

 生活に関して一切の指示も案内もなく、手当たり次第に行動してクエストを進めていくことになりますが、クエストの期限やペナルティは特にないので、効率等考えずに自分のペースで進めることができます。

 いきなり列車に乗って島の外に出てしまうのも、時間を気にせずアイテム収集やミニゲームに励むのもありです。

気になった点

操作性にかなり癖があり、不具合と思われる動作もある

 主人公が滑らかに動きすぎて、歩きながらアイテムを拾ったり、細い桟橋を落ちないように渡ったりといった細かい動作がしづらい時があります。

 特に顕著なのは畑作業の時で、思っていた場所からずれた場所を耕してしまったり、思うように水やりができなかったりして、もどかしい思いをしたことがありました。
 また、種を蒔き終わってもアカの待機ポーズ(腕組みをして考え込むポーズ)が変わらず、歩きモーションにならない不具合があります。(移動などの操作は可能)

 また、部屋の模様替え操作にも癖があり、テーブル一つを部屋の隅に置くのにも、かなり苦労します。
 マス目等のガイドは無く、アカが直接家具を持ってZL・ZRで傾ける仕様であり、壁に押し付けると跳ね返ってしまう仕様のため、規則正しく並べるのは難しいです。

ロード時間が長い

 ロード時間の問題はライフシムゲームにありがちですが、その中でも長い方だと感じました。
 建物の出入りやマップ移動を割と頻繁に行うゲームなのでロードを挟むことが多く、今後のアップデートで改善してほしいポイントです。

日本語翻訳がぎこちない部分があり、未翻訳箇所がある

 基本的には意味がわかる程度の翻訳ですが、同一キャラの一人称や話し方にブレがあり、時には性別すらブレることがあります。
 また、一部の手紙などは英語のまま翻訳されていない部分もあります。
 ある程度英語が読める方は、最初から英語で進めた方が良いかもしれません。

まとめ

 個人的に気になる部分はあれど、穏やかな時間が流れる島の雰囲気や手探りで進めるクエストなど、ついつい夜遅くまで続けてしまう位に楽しむことができました。

 もし「可愛い動物キャラや自然に癒されたい!」という目的で購入検討している場合は、暗めのストーリー展開や操作性・翻訳の粗があることも考慮に入れた方が良さそうです。

 しかし、絵画調のグラフィックと穏やかでゆったりした雰囲気、そこに影を落とす重い過去など、この作品特有の魅力があることも確かです。
 インディーゲームということでそこまで高くもないので、公式PVで観られる独特な雰囲気に魅力を感じたら買っても損はないと思いました。

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